FRBは25bpの利下げを再度実施し、バランスシート拡大と前向きな経済見通しというハト派的シグナルを発信。
市場予想通り、米連邦準備制度理事会(FRB)はさらに25ベーシスポイントの利下げを行いました。この決定は全会一致ではなく、追加利下げに反対する理事が増え、FRB内の意見の分裂が拡大しています。最新のドットプロットによると、追加利下げを支持する理事は12名(前回比+1)、据え置きを支持する理事は7名、利上げ転換を予想する理事は3名となりました。記者から「利下げの一時停止」について問われたパウエル議長は、今回の利下げでフェデラルファンド金利が「中立水準の幅広い推計レンジ」に入ったと述べました。FRBは今後も経済見通しを注視し、必要に応じて政策を調整する方針です。
パウエル議長は、現状のインフレは主に関税関連分野に集中しており、関税外のインフレは穏やかであると指摘しました。来年の経済成長回復は、2025年第4四半期の政府閉鎖による一時的な活動減速が、2026年第1四半期の成長加速で相殺されるためと説明。また、非農業部門雇用者数は過大評価されている可能性があり、実際の雇用環境はより弱い可能性を示唆しました。AIによる生産性向上もインフレ抑制に寄与する見通しです。パウエル議長の発言は過度にタカ派的ではなく、市場の懸念を和らげました。FRBは潤沢な準備金確保のため短期国債買い入れを発表。バランスシート拡大の決定は流動性リスク回避を目的とし、市場はハト派的と受け止めています。
今週発表予定の主な経済指標は、米国雇用統計、CPI、ニューヨーク・フィラデルフィア製造業指数、日銀の金利決定です。米国では、10月の雇用統計(給与データ含む)が火曜日に小売売上高とともに発表、CPIインフレデータは木曜日発表予定。日銀は金曜日に利上げが予想されており、経済成長の加速、信頼感の改善、物価圧力の上昇がその決定要因となる見込みです。(1, 2)

2025年12月FRBドットプロット

DXY
利下げ発表後、米ドルは先週さらに下落し、来年以降の追加利下げ観測を背景に3週連続の下落となりました。(3)

米10年・30年国債利回り
10年債利回りは2025年12月12日に4.19%で終了。2年債は3.52%、30年債は4.85%で終了しました。FRBの利下げと債券利回り上昇の逆行は、根強いインフレ懸念、米国政府債務負担、日本国債借入コスト上昇への懸念を示唆しています。(4)

金
先週、金価格は2カ月ぶりに4,300ドルに再到達。投資家は世界的な債務水準、インフレリスク、中央銀行政策の変化を織り込みました。銀など他の貴金属も価格上昇を記録しています。(5)

BTC価格

ETH価格

ETH/BTCレシオ
Bitcoinは前週比2.47%下落、Ethereumは0.05%の小幅上昇で底堅さを示しました。ETH/BTCレシオは2.6%上昇し0.0347となり、ETHの相対的なパフォーマンスが示されています。(6)
フロー面では、Bitcoin ETFに2億8,660万ドル、Ethereum ETFに2億894万ドルの純流入がありましたが、市場センチメントは依然として脆弱で、Fear & Greed Indexは16と「極端な恐怖」ゾーンが継続しています。(7)

暗号資産時価総額

BTC・ETH除く暗号資産時価総額

上位10銘柄除く暗号資産時価総額
暗号資産全体の時価総額は期間中1.84%減少。Bitcoin・Ethereumを除くと1.35%下落、上位10銘柄を除いたアルトコイン市場も1.58%下落し、基調の弱さが浮き彫りとなりました。

出典:CoinmarketcapおよびGate Ventures(2025年12月15日時点)
トップ30資産全体では平均1.46%の下落となり、Mantle、Zcash、Moneroが数少ない上昇トークンとなりました。
MantleはBybit、Mantle、AIクオンツプラットフォームAlmanakによるAI活用トレーディング戦略・流動性導入の戦略的提携発表を受け、+17.9%と大幅な上昇を記録し、オンチェーン流動性強化と実行力向上のストーリーを後押ししました。(8)
RaveDAOのRAVEトークンは、Web3エンターテインメント特化型カルチャープロトコルのネイティブユーティリティおよびガバナンストークンで、現実世界の音楽イベントとブロックチェーン参加を接続します。
本プロジェクトは、NFTチケッティング、ステーキング、コミュニティ投票などのオンチェーン機能と大規模なエレクトロニック音楽体験を組み合わせ、ファンの暗号資産エコシステム参入を促進します。
トークンは0.18ドル(時価総額4,470万ドル)でデビューし、Aster、World Liberty Financialチーム、Donald Trump Jr.によるXでの言及を受けて0.61ドル(時価総額2億3,513万ドル)まで急騰。その後は反落し、現在は0.28ドル前後(時価総額約6,800万ドル)で推移。Gate、Bitget、Asterでの上場により流動性が支えられています。
Jump CryptoのFiredancerクライアントがSolanaメインネットで稼働開始。バリデータの多様性やネットワークの耐障害性向上に向けた大きな一歩となりました。C言語でゼロから構築されたFiredancerは、モジュラー型アーキテクチャを採用し、コモディティハードウェア上で100万TPS超のスループットを実証。採用により、従来のRustベースクライアントへの依存度を低減し、パフォーマンス向上・障害リスク低減・機関投資家向けスケーラビリティ強化というSolanaの長期ロードマップを後押しします。(9)
Coinbaseは、cbBTC、cbETH、cbXRPなどのラップド資産において、ChainlinkのCross-Chain Interoperability Protocol(CCIP)を独占的なブリッジソリューションとして採用しました。約70億ドル相当の価値を代表するこれら資産を、CCIPの監査済トークンプール設計により新たなブロックチェーンへ拡張しつつ、ブリッジ関連リスクを低減。Chainlinkのインターオペラビリティ基盤としての地位を強化し、Coinbaseのカストディ1:1型トークン資産の安全なクロスチェーン流通標準化戦略と整合する動きです。(10)
EthereumコミュニティはERC-8092を提案しました。これは、ブロックチェーンアカウントが暗号署名により関連性を公開・証明・取り消す方法を定義するドラフト標準です。複数チェーンでのアドレス管理の煩雑化を解消すべく、サブアカウント関係、委任認証、レピュテーション集約を可能にします。EIP-712署名やERC-7930互換性を活用し、複数署名スキームやクロスチェーンアドレスタイプをサポート。マルチチェーン化が進むEthereumエコシステムの基盤的IDインフラとなる見込みです。(11)
Cascadeは、暗号資産および米国株のパーペチュアル取引を24時間365日提供するネオブローカレッジをローンチしました。Polychain Capital、Variant、Coinbase Ventures等から累計1,500万ドルを調達。単一の統合マージン口座と直接USDバンクレールを導入し、常時取引・連続決済を実現。従来型ブローカーの制約なしにクロスアセット取引を求めるリテール需要増加に対応し、パーペチュアルをソフトウェアネイティブな伝統的取引インフラの代替として位置付けます。(12)
Surfは、Pantera Capital主導、Coinbase Ventures、Digital Currency Group等の出資で1,500万ドルを調達しました。汎用モデルにありがちなハルシネーションを最小化する暗号資産ネイティブAIを構築し、リテール・機関投資家合わせて30万人超のユーザーに提供。市場が複雑化しリアルタイム判断のリスクが高まる中、信頼性・検証可能なインテリジェンスを提供するドメイン特化AIツールへの需要を反映した投資です。(13)
LI.FIは、Multicoin主導、CoinFund等の出資で2,900万ドルのシリーズAエクステンションを調達し、累計調達額は5,170万ドル、生涯取扱高は600億ドル超に。AIエージェント、ステーブルコイン、オープンインテントマーケットプレイス向け新プロダクト開発を推進。マルチチェーン化やエージェント主導型執行が進む中、複雑性を隠蔽しつつスケーラブルなクロスチェーン金融アプリケーションを可能にする抽象化流動性レールへの需要を反映したラウンドです。(14)
前週に成立したディール数は16件で、インフラが10件(全体の63%)、データが4件(25%)、DeFiが2件(13%)を占めました。

週間ベンチャー投資サマリー(出典:Cryptorank、Gate Ventures、2025年12月15日時点)
前週の開示済み資金調達総額は1億8,800万ドルで、未開示案件はありませんでした。最大調達セクターはインフラの1億3,400万ドル。主な大型調達案件はLI.FI(2,900万ドル)、Real Finance(2,900万ドル)。

週間ベンチャー投資サマリー(出典:Cryptorank、Gate Ventures、2025年12月15日時点)
12月第2週の週間調達総額は1億8,800万ドルと前週比-13%減。前年同期比では-131%増加しました。
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