政策の風向きが突然変わった。

アメリカ大統領のトランプ氏が先ほど公の場で発言し、FRB議長パウエルに対して来週利下げを強く要求した。さらに興味深いのは、彼が根拠としてJPモルガンCEOのジェイミー・ダイモンの見解をわざわざ引用したことだ――「ダイモンでさえ利下げが必要だと言っている」。

この細部は非常に微妙だ。ダイモンは常に保守的かつ慎重な姿勢で知られ、ここ数年は暗号資産に対する態度も一貫して揺れていた。そんなウォール街のベテランが突如として緩和政策支持に転じたという事実は、見逃せないシグナルを発している。つまり、伝統的な金融機関が流動性の転換に賭け始めているのだ。

市場データはさらに率直だ。現在、トレーダーたちは7月の利下げの確率を98%と織り込んでおり、ほぼ疑いの余地がない。同時に、資金は事前にポジションを入れ替え始めている――一部のヘッジファンドはリスク資産の比率を再調整し、流動性の扉が開くその瞬間を待ち構えている。

だが問題は、今回の利下げ期待がどこまで経済のファンダメンタルズによるものなのか、あるいはどれほど政治的思惑が入り込んでいるのかという点だ。特に大統領選挙が近づく中、政策手段のタイミングはますます意味深長になる。

暗号市場にとって、利下げは一般的にドル安・リスク志向の回復を意味する。実際、ビットコインは過去数回の金融緩和局面で明確な恩恵を受けてきた。しかし今回はひとつの変数がある。市場はすでに利下げ期待を十分に織り込んでおり、本当に利下げが実施された瞬間、「噂で買って事実で売る」という典型的な反転が起きる可能性もある。

今、方向性に賭けるのはまだ早い。FRBの来週の実際の行動や、会合後の声明文のトーンの変化を観察することが、先にポジションを取るより賢明かもしれない。結局のところ、政策を巡る駆け引きの盤上では、最後の一手にこそ最大の不確実性が潜んでいるのだから。